じゃかご【蛇籠】は、古来、竹を主な材料として円筒形のかごを編み、内部に石材等を充填して河川工事等に使用したことに始まります。竹は屈とう性(屈してたわむ性質)に富み、豊富で入手が容易であったことから、じゃかごの材料として最も多く使用されました。紀元前360〜250年の中国では、都江堰の築造にじゃかごを使用したとされていることから、その起源は今を去ること実に2000年以上前となります。
じゃかごが日本に伝えられたのは、古事記(712年)の記述から380〜640年頃とされていますが、比較的広く使われるようになったのは、安土桃山時代以降であり、大名が自己領土の保全と開発、領土拡張のため、治水工事が行われるようになったことによります。その後、徳川幕府によって全国統一がなされ、河川改修、災害復旧工事が盛んに行われるようになり、大量のじゃかごが使用されました。
それから長い時代を経て今日まで引き継がれるなかで、じゃかごの材料・製法・構造は徐々に発展してきました。1908年(明治41年)に材料として亜鉛めっき鉄線を使用することに成功し、1911年(明治44年)には、じゃかご製造機が実用化され、機械生産が可能になりました。そして昭和の時代に移り、戦後の荒廃地に毎年のように襲った大水害の際にも、じゃかごは重要な土木資材として使用され、当時の建設省はこれに鑑み、1953年(昭和28年)にじゃかごの基準を制定、さらに、翌年の1954年(昭和29年)には、当時の通産省が日本工業規格JIS
A 5513 亜鉛めっき鉄線製じゃかごを制定し、これまで以上に品質の確保が重視されるようになりました。
じゃかごは、蛇の形に似た石かごからその呼び名が由来するように、元来は円筒形のものでしたが、今日のJIS A5513 じゃかごにおいては、円筒形じゃかご・角形じゃかご等の製品が、いくつかの材料と共に規格化され、現在、各種の工法に合わせた多様なじゃかごが使用されています。
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2007年 |
農林水産省-土木工事共通仕様書に、じゃかごの材質として亜鉛-10%アルミニウム合金めっき鉄線が追加。 |
2005年 |
国土交通省-土木工事共通仕様書に、じゃかごの材質として亜鉛-10%アルミニウム合金めっき鉄線が追加。 |
2002年 |
JIS A5513 じゃかごが改正。従来の亜鉛めっき品に加えて、着色塗装亜鉛めっき品、塩化ビニル被覆品、溶融アルミニウムめっき品を規格化。また、施工性を向上させたパネル式角形じゃかごを規格化。 |
1999年 |
護岸の力学設計法(国土開発技術センター発行)に、護岸に使用するじゃかご・ふとんかごの材質については、本格護岸には亜鉛アルミニウム合金めっき鉄線、仮設護岸には亜鉛めっき鉄線と記載される。 |
1993年 |
JIS A5513 亜鉛めっき鉄線製じゃかごが改正。亜鉛厚めっき品を規格化。 |
JIS G3547 亜鉛めっき鉄線が制定。これまでのJIS G 3532 鉄線から亜鉛めっき鉄線が分離。亜鉛厚めっき品を規格化。 |
1989年 |
高耐食性の亜鉛アルミニウム合金めっき鉄線の製造が始まる。 |
1984年 |
JIS A5513 亜鉛めっき鉄線製じゃかごが改正。従来の円筒形じゃかごに加えて、角形じゃかごを規格化。亜鉛めっき付着量が向上。 |
JIS G3544 溶融アルミニウムめっき鉄線が制定。 |
1983年 |
JIS G3543 塩化ビニル被覆鉄線が制定。 |
JIS G3542 着色塗装亜鉛めっき鉄線が制定。 |
1962年 |
JIS G3532 鉄線が改正。亜鉛めっき鉄線の種類が変更。 |
1957年 |
JIS A5513 亜鉛めっき鉄線製じゃかごが改正。亜鉛めっき付着量が向上。 |
1954年 |
JIS A5513 亜鉛めっき鉄線製じゃかごが制定。円筒形じゃかごを規格化。 |
JIS G3532 鉄線が制定。亜鉛めっき鉄線は、普通鉄線、なまし鉄線、くぎ用鉄線と共に規格化。 |
1953年 |
建設省が蛇籠の構造上の基準についての研究を委嘱して、蛇籠の亜鉛引鉄線および構造上の基準を制定。 |
1911年 |
じゃかごの機械編み製法が始まる。手編みの亀甲網目から菱形網目になっていく。 |
1908年 |
じゃかごの材質に亜鉛めっき鉄線が使用されるようになる。 |
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