円筒形じゃかご

 じゃかごの材質には、亜鉛めっき鉄線に加え、耐食性を高めた亜鉛-10%アルミニウム合金めっき鉄線、着色塗装により耐食性・景観性を高めた着色塗装亜鉛めっき鉄線、樹脂コーティングにより耐食性・耐摩耗性を高めた合成樹脂被覆亜鉛めっき鉄線、海岸・温泉地帯で高い性能を発揮する溶融アルミニウムめっき鉄線等があり、これらからの中から現地条件に合った材質を選ぶことができます。

亜鉛めっき鉄線 (JIS G 3547)

 JIS G 3505 軟鋼線材を伸線加工した線、また必要であればこれに熱処理をした線に、溶融亜鉛めっき、または電気亜鉛めっきを施したものです。
 亜鉛めっき層は、表面に酸化保護皮膜を形成し、下地鉄線の腐食を抑制します。 この酸化保護皮膜は、時間の経過とともに形成、破壊を繰り返し、めっき層は少しずつ消耗されることから、亜鉛めっき鉄線の耐食性はめっき付着量に比例します。 なお、亜鉛の犠牲防食作用により、切断面や取り扱い疵などによって露出した地鉄に対しても、周囲の亜鉛が鉄錆を防止します。

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亜鉛-10%アルミニウム合金めっき鉄線

 JIS G 3505 軟鋼線材を伸線加工した線、また必要であればこれに熱処理をした線に、溶融亜鉛-10%アルミニウム合金めっきを施したものです。
 亜鉛が90%を占めているため、基本的には前述の亜鉛めっき鉄線と同様の防食機構により下地の鉄線を保護することから、亜鉛-10%アルミニウム合金めっき鉄線の耐食性はめっき付着量に比例しますが、亜鉛にアルミニウムを添加合金化することにより、表面の保護被膜は強化され耐食性は向上します。 めっき付着量が同じ場合、亜鉛めっきの2.5倍程度の優れた耐食性を発揮します。
 長期の本設構造物として使用可能な亜鉛-10%アルミニウム合金めっき鉄線は、国土交通省および農林水産省の「土木工事共通仕様書」において、じゃかごの材質として追加規定されています。

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着色塗装亜鉛めっき鉄線 (JIS G 3542)

 JIS G 3547 亜鉛めっき鉄線に、耐久性のある合成樹脂塗料を塗装し焼付けを行ったものです。
 塗膜が心材である亜鉛めっき鉄線を保護します。 塗膜がなくなった箇所は、前述の亜鉛めっき鉄線と同様の防食機構により下地鉄線の腐食を抑制します。
 国立公園や国定公園内など、景観に配慮する必要がある場所に有効です。

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合成樹脂被覆亜鉛めっき鉄線 (JIS G 3543)

 JIS G 3547 亜鉛めっき鉄線に、耐候性のある合成樹脂を密着被覆したものです。
 密着被覆している合成樹脂が心材である亜鉛めっき鉄線を保護します。 被覆が破損した箇所は、前述の亜鉛めっき鉄線と同様の防食機構により下地鉄線の腐食を抑制します。
 著しい腐食を起こす恐れのある強酸性河川、高塩分濃度を有する河川、硫黄酸化物の影響を受ける場所に適しており、また河川での流砂などによる磨耗にも有効です。

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溶融アルミニウムめっき鉄線 (JIS G 3544)

 JIS G 3505 軟鋼線材を伸線加工した線、また必要であればこれに熱処理を行った線に、溶融アルミニウムめっきを施したものです。
 アルミニウムめっき層は、表面に緻密で安定した酸化保護被膜を形成し、下地鉄線の腐食を抑制します。 この酸化保護被膜は、大気中では安定な不動態であり溶解しにくいため優れた耐食性を示します。 特に、海岸地帯、硫黄を多く含む温泉地帯、工業地帯、酸性雰囲気(pH4〜8)で亜鉛めっきよりも耐食性に優れています。 また、海中ではめっき層が溶解しにくいことにより藻や海草が付着しやすく、魚介類の生息しやすい環境を創り出すことができます。
 亜鉛のような犠牲防食効果は少ないため、加工疵や取扱い疵などにより、不動態皮膜の一部が破壊され鉄素地が表面に出ていると孔食を生ずる恐れがあることから、アルミニウムめっき鉄線の取扱いには十分注意が必要です。

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